刻印とは印（しるし）を刻むという文字が表わすとおりに、何かの文字・数字・記号などを記すために用いられます。
古くは自己の所有の証しとして刻印は用いられてきたのですが、最近では工業用の用途に主に使用されます。

製造工程において、製品の形式・製造番号・シリアルNo.などを表示しておく銘板への印字、生産者の製造物責任を明確にする社会的な意識の高まり、環境保全や資源の有効活用（リサイクル）の必要性から、トレーサビリティ（製造履歴管理）のための工業用マーキング（刻印）などに使用されます。

製品の製造責任者はますます厳しくなる傾向にあります。製品として市場へと流通した後でも、製造場所や製造ロット、製造時間などの履歴が追跡できることが求められているようになっています。

マーキング（刻印）の内容としては、番号・記号・製造番号・製造年月・製造場所・ロットNo.などさまざまな情報を印字するような要求が増えてきています。

マーキング（刻印）するデータ量が増えるにしたがって、2次元バーコードを用いたマーキング（刻印）の要求なども増加する傾向にあります。

盗難や模造を防止するために、他と判別できるような特殊な書体の文字・記号を製品にマーキング（刻印）します。盗難被害時に、警察署などで証拠として認められるものです。

また、模造品と正規品との判別にもマーキング（刻印）は使用されており、自動車の車台番号や原動機の製造番号は盗難車や偽造者の判別として活用されています。

製品のデザイン性を向上させえるような意匠面での刻印の使用もあります。

金属に直接、彫刻のようなマーキング（刻印）を行う場合もあれば、刻印とともに着色の箔押しを行い、文字を印字することもあります。